「私が心配しているから、ミサイルは飛んでこないんですよ」
カウンセリングの中で、そんな言葉が出てきたことがある。
本人はいたって真剣。

もちろん、こちらとしては一瞬、
「……へぁ?」
でも、そこで「いやいやいやいや」と言ってしまったら、おそらく何も始まらない。
その人の中では、それまでずっと、
それが「そういうもの」だったから。
自分が心配しているから。
自分が応援しているから。
自分が気にかけているから。
だから、何かが起こらずに済んでいる。
そんなふうに、自分と周りで起きていることが、いつの間にかひとつにつながっていることがある。
そして、本人はそのことに気づいていない。
それが「思い込み」だとは思っていない。
だって、自分にとってはずっと「当たり前」だったから。
だから私は、すぐに答えを言うのではなく
ゆっくりと、真剣に、
「本当に、そう思う?」

一緒に立ち止まる。
すると、
「……あれ?」
この「あれ?」が、私は好き。
何かを教え込んだわけでもない。
正解を言ったわけでもない。
ただ、自分の中にあったものを、
もう一度、自分の目で見てみた。
それだけ。
でも、その「もう一度見る」が、
けっこう大きい。
私たちは、自分の中にある「当たり前」を、
いちいち疑ったりしない。
「こうするもの」
「こう考えるもの」
「私が何とかしなきゃ」
「私が心配しておかないと」
「この人のために、私が頑張らないと」
そうやって生きているうちに、
いつの間にかそれが「自分の考え」になっている。
でも
それは本当に、今の自分がそう思っていることなんだろうか。
カウンセリングでやっていることのひとつは、
そんな「当たり前」を、もう一度見てみること
自分にとっての「当たり前」は、
当たり前すぎて、自分では見えない。
だから、ときどき誰かに
「本当にそう思う?」
すると、
「……あら?」
のはじまり!
